お客様の事業内容
今回ご紹介するお客様は、自社の工場や顧客への電力供給のため、自営の水力発電設備で発電した電気を送る自営送電設備を保有されています。これらの送電設備は、山間部から市街地まで広範囲にわたって設置されており、安全確保と事故防止のために定期的な外観点検が不可欠でした。
導入前の課題
従来の送電設備点検は、作業員が双眼鏡を用いた目視点検で行っていました。この方法では点検結果の記録が残りにくく、情報が不足するため、点検の優先順位付けが難しいという課題がありました。また、万が一、送電設備に破断などが発生した場合、電力供給の停止だけでなく、感電や漏電火災につながる恐れもあり、安全確保が重要な課題となっていました。
導入ソリューション
これらの課題を解決するため、ドローンを活用した送電設備点検アプリケーション『POWER GRID Check』を導入いただきました。『POWER GRID Check』を活用し、ドローンによる外観点検を実施することで、以下のようなメリットがあります。
・自動点検と安定したデータ取得
『POWER GRID Check』は鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検できる点が特徴です。ドローンに関する特別な知識がなくても、簡単に架空送電設備点検業務を実施することができます。自動航行により均一なデータ取得が可能で、従来の目視点検と同等の品質データの収集を実現します。
・点検情報の円滑な共有と効率化
収集された画像は、『POWER GRID Check』に一元管理が可能なため、設備状況の把握が容易となります。これにより、別部署や関係会社への情報の共有がスムーズになり、報告書作成の効率化、修繕工事の迅速な実施が可能となり、点検作業の自動化に寄与します。
・AIによる品質向上とデータ活用
『POWER GRID Check』に搭載されたAI機能の活用により、見落としの防止や点検基準の標準化を可能とし、点検品質の安定と向上を実現します。また、一元管理されたデータを活用することで、経年変化の分析や、今後のメンテナンス計画の立案にも役立ちます。
お客様の声
『POWER GRID Check』を導入いただいた担当者様からは、以下のコメントをいただいています。
「現場の課題に寄り添ったシステムで、導入直後から“使える”と実感できました。操作性が高く、現場の意見がしっかり反映されている点に安心感があります。特に、水力発電保守業務においては、ドローンによる点検の自動化やAIによる異常検知、遠隔監視など、従来の業務スタイルが大きく変わりつつあります。今回の導入を通じて、自社の業務も一段と先進化が進み、現場の働き方そのものに変化が生まれています。今後、こうした技術を他業務にも応用し、業務全体のスマート化・効率化を加速させる上で、本システムが重要な起点になると考えています。」

今後は、巡視点検の分野で『POWER GRID Check』を活用したドローン点検を実施いただき、新たな巡視業務のDX化に向けて貢献してまいります。
『POWER GRID Check』とは
センシンロボティクスと中部電力パワーグリッドが共同研究にて開発した技術をベースとした、ドローンを活用した送電設備点検アプリケーションです。鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検できることが特徴で、ドローンと設備の間の安全な離隔距離を確保したうえで、自動航行により均一したデータ取得を行い、ドローンに関する特別な知識を持たない作業員でも簡単に送電線点検業務を実施することが可能です。
【POWER GRID Check概要図】
