センシンロボティクスでは、様々な業界で多様なスキルを磨き上げてきたスペシャリストたちが社会課題の解決を目標として日々の業務にあたっています。

第一回となる今回は編集部がゲストにインタビューをしていますが、第二回からは前回インタビューを受けたエンジニアが次のゲストを指名し、エンジニアがエンジニアをインタビューするという”技術部分を深堀していく”内容となります。

 

第一回はUGV(※1)を利用した開発プロジェクトをけん引する菅井 駿さんにインタビューをしていこうと思います。

※1 UGV=Unmanned Ground Vehicle。無人走行車両を指す

 

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大手メーカーにて、制御系エンジニアとしてキャリアスタート

編集(以下「編」):今日はお忙しい中第一回のインタビュールーレットに参加していただいてありがとうございます!では早速なのですが、自己紹介をお願いします!

菅井:はい!菅井 駿(すがい しゅん)といいます!

 

 :社内では「パッシュン」の愛称で呼ばれる方が多いですよね、あれって社内のだれかがネーミングしたのですか?

菅井:いえ、これも自己紹介というかキャリアに絡んだ話になるのですが、前職でつけてもらったあだ名ですね。【Passionate(情熱的)な駿】ってのが由来です。

 

 :そうだったんですね。では本日は菅井さんのパッシュンな面についても教えていただきたいと思います!前職は確かメーカーで業務用複合機の制御系ソフトウェアでしたよね?

菅井:はい。修士課程を修了後に就職しました。業務用複写機(コピー機)を製造するメーカーで、制御系のソフトウェアを開発する部門に配属になりました。

 

 :やっぱり前職の制御系ソフト開発って現在に活きてるんですか?

菅井:そうですね、全部ってわけではないんですけど活きている部分はあります。プロダクトが変わると必要な知識はどうしても変わってくるので、都度必要な知識は仕入れるって感じですね。

 

 :なるほど、開発者は日々新しい言語や開発手法にアンテナを立て続けるってよく言われますものね。

菅井:そこはセンシンの現在の取り組みに関した話になるのですが、毎週開発チームで勉強会を開催していて、他メンバーと一緒に学ぶ環境が用意されているので助かっています。社外の勉強会よりも「現在のセンシンだったらどう活用できる」って部分で共通認識を持てるので内容の濃い議論が出来たりします。

 

 :木曜日のやつですよね!毎回ほぼ皆さん出席されていて活気がある勉強会だなと思っています。そんなセンシンに転職しようと思ったきっかけって何だったのですか?

 

より広く人の助けになる技術を追求し、センシンへ

菅井:前職には約6年間在籍していたのですが、後半の3年間は自社の新プロダクトに関する新技術の可用性検証を担当していました。

で、複写機ってオフィスとかに置いてあるやつじゃないですか。

自分の仕事が人の役に立っている実感みたいなものをなかなか感じづらいなっていうジレンマみたいなものを抱えていて、更に部署異動でより距離感を感じるようになったというか。

部署異動があって3年目にちょうどその時関わっていたプロジェクトが完了したっていうのと、もう一つは前職に入社したころから考えていたんですけど30歳になったら転職をしようって考えてたんです。

 

 :30歳になったら、ですか。それはどういう意図で30歳になったら転職という考えだったのでしょうか?

菅井:単純にキリがいい良いってのもあるんですけど。笑 

もう一つはやはりエンジニアとして一つの組織で自分のものにできる技術や知識や経験と、違う組織に飛び込んでいった ときに期待できる経験を考えたときに、どこかのタイミングで転職をしてみるのもいい経験になるはずって思ってたってのがありますね。

 

 :つまり、もともと自分の技術や知識や経験をより積むため30歳になったら転職しようって思っていたことと、実際その年齢に近づくにつれて自分の培ってきた経験や技術をもっと社会の広い範囲に役立てたいって思われて転職を決意したと。

菅井:そうですね!なので先ほどお話しした社内の勉強会なんかも新しい環境でこうしたいって思ったことが現在進行形で走っているのですごくいい刺激を受けています!

 

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センシンに入ってから現在に至るまで

 :そんなセンシンにジョインして手がけていらっしゃるプロジェクトについていろいろ伺っていこうと思うのですが。

菅井:まさに現在進行形な物が多いのでお話しできる範囲が限られちゃうと思うのですが、張って説明しますね!笑

 

 :お願いします!笑 ではさっそく、今メインで携わっているプロジェクトについてなのですが。

菅井:UGVを利用した自動点検ソリューションのプロジェクトに、機体制御をメインに携わっています。

 

 :冒頭で話されていた前職の経験を活かすプロジェクトですね!

菅井:そうですね、でもこのプロジェクトって立ち上がった経緯がちょっと面白いんですよ。

 

余暇で作ったデモアプリがプロジェクトに

 :ぜひ教えてください!

菅井:センシンにジョインしてから業務とは別に個人的にUnity(※2)に興味があって勉強をしていたんですけど、その中でバーチャル空間の室内におけるUGVの操作シミュレーションを体験するってアプリの構想をしてたんです。

※2 Unity=ゲーム制作などで活用されている開発用の統合環境

 :UGVシミュレータのような感じですか?

菅井:そうです。そのころ別件で自分が参加しているプロジェクトのお客様と打合せする機会があって、アイスブレイク的な感覚で考えていたことをお伝えしたんですね。そしたら「すばらしいね!それをうちのこういう課題に乗せて開発してくれないか?」という評価を頂き、実際に今開発中です。

 

 :ゼロベースで立ち上げ、プレゼンまで一人称で出来ちゃってますね…笑

菅井:そうなんですよ、もちろんプレゼンに至るまでの過程でセールス、企画の面々がお客様と綿密なコミュニケーションを取り続けてくれてたからこそ、真剣に検討してもらえたっていうのもありますけどね。

 

 :ザ・チームプレイですね。企画の方々もめちゃくちゃ面白いエピソード持ってらっしゃると思うので、また機会を作って取材に行きたいと思います!

ではそんな連携を見せる弊社プロジェクトチームの中で菅井さんが「これはなかなかハードだった!」という業務エピソードがあれば教えてください!

菅井:UGVのプロジェクトの前に参加していたのがいろんな意味で貴重な体験をさせてもらったので、それかなぁと思います。

 

高温の現場でコードを書きつつ顧客要望にリアルタイムで応える

菅井:【高温の構内で熱源を監視し続けて異常検知などを自動化する】というプロジェクトがあって熱源近くの温度は約1000°という高温だったのですが、お客様の要求仕様(開発にあたって提示される各種開発条件をまとめたもの)に「監視映像のフレームレートは20FPS(※3)程度とする」という指示があったんです。でも我々の検証では5FPS程度でリアルアイムな検知が可能であり、設置現場の環境とそれに耐えうる機材ではそれ以上を望むことが難しかったんです。

※3 FPS=Frames Per Second=1秒間あたりの映像を何コマで表現するという単位

 

 :でもお客様はなめらかな映像をくれと。

菅井:そうなんです。お客様目線からすると細かな異常でも見逃したくないという想いから設定されたものだと思うんです。でも我々としてはそれ以下でも安全を担保する動作はできるという自信がありました。

なので現地に伺ってその場で検証をさせていただいたうえで、再度ご検討を頂きました。

 

 :その中で検証しつつその場でコードを書きながら調整をしたと。

菅井:そうなんです笑 あとやはり高温の環境ですとPCにとってもなかなかハードな環境で、この監視装置はセキュリティの観点から現場にPCをおいてカメラから記録をとるのですが、検証初日にPCが強制シャットダウンしちゃって起動しないというアクシデントが発生したんです。

 

 :熱暴走みたいなものですかね?

菅井:熱暴走ですね、後日確認するとPCの吸排気口から現場で舞っている金属片などが侵入して目詰まりを起こしていたようでして。予備機を急遽出すことになり当日から翌日にかけてシステムの再セットアップをしてなんとか間に合わせることができました。

 

 :二日間にとんでもない量のエピソードが詰まってますね!笑 結果は実証実験として成功だったと社内共有で聞いていますが、そんな裏側があったとは…

菅井:はい、FPSの件もその場でお客様に現物確認して納得していただいて。予備機もちゃんと動いてくれたので良かったです。次回以降、高温の現場で実証実験する際にこの経験が活きてくると思いますね!

 

未来を想像し続けることで、それを叶える技術へのモチベーションになる

 :次は菅井さんの「技術者として日々心掛けていること」について教えていただきたいのですが。

菅井:自分なりの表現になっちゃうのですが、「日々いろんな妄想をする」って事ですかね笑

 

 :妄想ですか。

菅井:そうですね、未来はどう進化していくんだろうってことを常に考えながら日々を過ごすようにしています。

個人的な意見として、すでにある程度習熟していることって”当たり前”になってしまって楽しさが薄れていく気がするんです。なので、こんなことが出来たら楽しそうだなって思うこと自体を忘れないように心がけていますね。

例えば先ほどお話ししたUGVのプロジェクト立ち上げも「Unityって面白そうだな、自分が想像する形を仮想空間に創り出すことができる」って興味から学び始めたものですし、前職で制御系の部署に配属された時もロボコンの参加などを通じて楽しさを知ることが出来たりしたんです。

そうやって自分が思い描いた未来を自分の手で創り出す事で楽しさって実感できますし、それが仕事になったらより楽しんで毎日を過ごすことができると信じています。

 

 :確かに事業化する瞬間を自分の手で創り出すってテンション上がりますよね!センシンはそういうチャンスに立ち会える会社だと。

菅井:僕はセンシンが二社目なのであまり知ったようなこと言えないですけれど笑 でもこの2年弱で実際に新規プロジェクトが立ち上がってお客様が直接評価をくれたってことは励みになっています。

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世界が安心して今より安全に暮らす世界

 :なるほど、今日はいろいろなお話をありがとうございました!では最後に菅井さんの思う【未来のセンシンロボティクス】を教えてください!

菅井:ドローンやUGVが連携するデジタルツイン(※4)をしっかり社会に実装して、世界中の人々が今より安心して安全に暮らす世界を支えている。そういう会社になっているはずです!

※4 デジタルツイン=デバイスを通じて収集した様々なデータを、デジタル空間上にコピーし再現する技術のこと。デジタル空間上の双子、が語源

 

 :本日は本当にありがとうございました!