2026年3月、当社のエンジニアが所属するAIチーム主導による第2回社内AIワークショップが開催されました。今回は、お客様の課題解決を推進するプロジェクトマネージャー(PM)向けのワークショップです。

センシンロボティクスでは、プロジェクトマネージャーが中心となってお客様の課題解決を推進し、現場に実装可能な様々なソリューションを開発しています。年々、AIを活用したソリューション開発が増えてきており、プロジェクトにかかわるメンバー全員がAIに対する正しい理解が必要不可欠となっています。

本ワークショップでは、計4名のAIエンジニアによって日常的に使用する専門用語の解説から、用途に応じたモデルの選定基準、そして開発の最終工程である「デプロイ」の流れまで、クイズを交えながら体系的にレクチャーし、実践的なノウハウを共有するワークショップとなりました。

1.機械学習とディープラーニングの基礎

まずは、AI・機械学習(ML)・ディープラーニング(DL)の関係性を整理し、代表的な学習手法について学びました。

・教師あり学習:「これは車」というラベル付きデータから学習(例:画像内の物体特定
 ・教師なし学習: データからパターンを抽出(例:不正検知) 。

 ・強化学習: 試行錯誤を通じて、報酬を得られる最適な行動を学習(例:チェスAI)。

 

2.AIモデルの構造とタスク要件に応じたモデル選定

次に、センシンロボティクスでよく使われているAIモデルについて解説しました。AIモデルは、画像から情報を抽出する「バックボーン」、その情報を強化する「ネック」、最終的な予測を行う「ヘッド」という3つの要素で構成されます。タスクの要件(精度重視か、速度重視か)に応じて、適切なバックボーンを選択することが重要です。

バックボーンの特性と使い分け

 ・CNN (畳み込みニューラルネットワーク): 局所的な特徴の学習が得意で処理速度が適度。

  ・ViT (Vision Transformer): 精度は非常に高いが、膨大なデータが必要で処理速度が遅め。

  ・Edge:推論速度、リアルタイム処理を強みとする一方、精度が低く出る場合もある。 

AIモデルの要素において、「ネック」は、データの理解を担う「バックボーン」と、最終的な判断を下す「ヘッド」を繋ぐ極めて重要な役割を果たします。ワークショップでは、このネックが主に「1ステージ」と「2ステージ」の2つのタイプに分類されることが解説されました。

ネックの主な2つのタイプ

  ・1ステージ (One stage): 1つのステップで特徴量の準備を完了。推論速度が非常に速いが、精度は相対的に低くなり、小さな物体の検出が苦手。

   ・2ステージ (Two Stage): 2ステップで検出タスクを実行。ステップ1の領域提案(Region Proposal)で、画像の中で物体が存在していそうな場所(関心領域)を絞り込み、提案しステップ2の検出(Detection)で提案された特定のエリアに対してのみ、詳細な検出タスクを実行することで、非常に高い精度となるが処理の工程が増えるため、1ステージよりも推論速度が下がる。

そして、解決したい課題(金属棒の曲がり具合を計算するなど)に対して、どの手法が有効かをクイズ形式で学びました。

   ・物体検出 (Object Detection): 画像内のどこに何があるかをボックスで囲んで特定。

 ・セグメンテーション (Segmentation): ピクセル単位で領域を分類。レールや道路の正確な形状把握に有効。

  ・キーポイント検出 (Keypoint Prediction):  関節や特定の部位(点)を抽出し、複数のキーポイントを作成。

   ・深度推定 (Depth Estimation): 特殊なセンサー(LiDAR)なしで、画像のみからカメラとの距離を予測。

 ・差分検出 (Change Detection): 2枚の画像を比較して変化を見つける。「間違い探し」のような技術。

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3.次世代モデル:One-Shot & Zero-Shot

従来の「特定のタスクのみが得意な専用モデル」に対し、汎用性の高いモデルも紹介されました。

・One-Shotモデル:大量のデータで事前学習されたモデルにより、たった1つのサンプルで素早く特定のタスクに対応が可能で、一般的な対象物に対して良好な性能を発揮。

 ・Zero-Shot / Foundationモデル: 事前学習により、特別なサンプルなしでもタスクの遂行が可能で、学習データにない画像も認識や分類ができる。(例:ChatGPT(OpenAI)、 Gemini(Google)など)


4.実装とデプロイ:現場で「動く」AIへ

 学習したモデルをシステムに組み込むステップについても丁寧に解説を行いました。

 ・最適化: 学習用の機能を削除し、推論速度を上げるためのモデル変換や、コスト・精度のバランスを考えた環境選び(エッジ:現場で即座に処理 vs クラウド:高度な計算をサーバーで処理)がポイントです。

 ・事前の動作確認: デプロイ後の手戻りを防ぐため、AI出力形式やリソース使用率を事前にテストする手法を共有しました。

  ・システム連携: デプロイ完了後、自社のAI活用プラットフォームへ登録することで、アプリケーションから簡単にAI機能を呼び出せるようになります。

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加えて、ケースとして増えてきている複数モデルをデプロイする際のパターンや注意点についても説明し、最後に実業務に関連したクイズへの回答、質疑応答を通じて理解を深めました。

参加者の声

「モデル選定の根拠が分かりAIへの解像度が上がりました。関連用語も学べたので、エンジニアとの共通言語を持てた気がします。」

「クイズなども盛り込まれていて、参加者みんなで楽しみながら参加できました。どのような分野で利用されているかや、最新の内容についても触れられていて勉強になりました!」

「クイズ形式で、理解が甘かったところをその場で振り返りが出来たので、密度が濃い時間になりました。AIモデルを顧客に届けるまでに行う一連の作業について、開発者とPMとの間で言葉の定義が違っていたことに気付けて、そのズレを修正できたことが大きな収穫でした。」

今後も、積極的にこのような社内ワークショップを実施予定です!

センシンロボティクスの取り組みに共感いただけましたら、各ポジションへご応募いただけると幸いです。各ポジションの募集要項はこちらに掲載しています。まずはカジュアル面談からのスタートも大歓迎です。皆様からのエントリーを心からお待ちしています。