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センシンロボティクスの人事ポリシーができるまでの過程をリアルタイムでお伝えしていく連載記事「人事ポリシーができるまで その3」
経営陣と人事チームで検討を重ねてきた人事ポリシーが決まり、公開されるまでのストーリーもついに最終回となりました。前回は、経営陣が大事にしている価値観を言語化していく過程、またその価値観がなぜ大事なのか、という経営陣一人一人の想いに焦点を当てました。今回は、多くの大事なワード、価値観から人事ポリシーとして完成させるまでの過程をお送りいたします。

前回の記事をまだ読んでいない方は「人事ポリシーができるまで その1」「人事ポリシーができるまで その2」もぜひお読みください。

 

 

1.浸透する「見せ方」の模索

人事ポリシーの要素

前回の決定した人事ポリシーの要素は「正義、挑戦、リスペクト、プロフェッショナル、楽しむ」でした。これをどう見せるか、が次の課題となります。

一つ目は、リード文と要素説明文
他社事例を見ると、どれもかっこよく、グッとくるリード文が設定されています。
人事ポリシーに限らず、理念、方針などは突き詰めて考えると実は多くの企業が似たようなところに落ち着いてきます。センシンロボティクスの人事ポリシーの5つも、突飛な要素ではありません。
リード文と要素説明文でどのような想いが込められているのか、その要素をどう体現してほしいのか、を見せていくことが、センシンロボティクスの独自性につながってきます。

※ここではリード文、要素説明文は下記のような文章を表しています。

リード文要素説明文イメージ

二つ目は、ビジュアル
例えば、画像のインパクトを強めにしたり、漢字一文字で表したり、これも他社事例を見ると工夫が凝らされていると感じるポイントになります。
センシンロボティクスらしく、そして社員の皆に浸透しやすいビジュアルを追求します。

2.リード文、難しすぎて、後回し

思わす川柳風のタイトルにしてしまうほど、まずリード文と要素説明文に悩みました。
リード文と要素説明文によってビジュアルも変わってくる可能性があるため、まずはリード文と要素説明文に取り掛かり始めました。

リード文では、普段経営陣が発言しているワード集を再度活用。(前回の活用は第一回を参照)
「一度きりの人生やるか、やらないか。」
やや追い詰める感じがあるのではないか?
「一度きりの人生やるか、やっちゃうか。」
これくらいの軽い感じだとどうだろうか?社外に出ることも考えると、軽すぎるかもしれない。
「できるかじゃない。やるかだ。」
強すぎる。
「RICE WORK?  LIFE WORK!」
RICE WORKって、ちょっと古いよね?
「ワガゴト」
シンプルでいい!

どれも悪くない、でもどれも「これだ!」というものでもない。センシンロボティクスの「人」に対する顔になるリード文。どれも悪くない、ではなく、唯一無二のものにするために、まだまだ候補を出し続けます。

更には、リード文だけでなく各要素の説明文章も考えていきます。
人事チーム3人で100文章くらいはピックアップし、その中からこれまでの議論を踏まえて付け足したり削ったり、文章候補も1要素に対して5候補ずつくらいは出していきました。

Professionalで一例をお見せしたいと思います。
知の探究。驕らず学びプロフェッショナルであり続ける。
学び続け、自分を高め続け、言い訳をしないのがプロフェッショナル。
自信と謙虚さを持ちプロフェッショナルであり続ける。
自分は何者であると言えるか。
信じるのは自分である、と言えること。
きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道を進め(ニーチェ)
強みを武器に。
あくなき探求心

すでにあるMissionやValueとの整合性を考えながら、センシンロボティクスでいうProfessionalの定義とは何か、働くメンバーにどうなってもらいたいのか、それを一番よく表しているのはどの文章なのかを検討していきます。
人事ポリシーを理解してもらうための文章なので、しっかり時間をかけていきます。人事チーム3人のアイデアと経営陣からの意見との組み合わせを繰り返しながら練り上げていきました。

経営陣からの更なる意見としては3つ。
簡潔に
綺麗過ぎない
尖った感じで

難易度の高い要求がどんどん出てきます。更にブラッシュアップしていきます。

3.寄り道。ビジュアルでの表現もあり?

もはや、言葉で表現しなくてもよいのではないか?
ダイバーシティを考えると言語を超えた表現がいいのではないか?
これは新しいアイデアなのか逃げ道なのか、ビジュアルで表現することを考える人事チーム。

kanaya「ChallengeもProfessionalも期待を“超える”という想いが反映されているので“超”という字を中心にして、他の要素を漢字一文字にして表現してみたけど、どうでしょう?」

 

sakata「もはや言葉は要らないんじゃないかな。言語を超えてピクトグラムで表現してはどうだろう?一段一段ハードルを超えていくイメージで、まず“挑戦”では汗をかきながら超える、“楽しむ”ではチームで楽しそうに超えている、といったイメージです。」

shimura「SENSYNのSYNを使って巻き込んでいく、というのも想いとしてあったと思うので、“SYN”を中心に各ポリシーのワードを渦巻みたいに表現してみるのはどうだろう?」

ビジュアル案も実は20パターンくらい考えました。
しかし、最終的にビジュアルで表現方法は採用しませんでた。」ビジュアルで表現する、というのは確かに言語の壁を超えることができ、わかりやすい、印象が残る、といったメリットが多くあります。
一方で、「解釈の幅が広い」という課題が出てきます。
当初の議論から「センシンロボティクスの社員であれば「誰でも同じ認識」を持てるシンプルなワードに落とし込み、人事ポリシーに反映する」という方向性がしっかり定まっていたこともあり、「誰でも同じ認識」は困難になってしまうため廃案としました。(詳細は第1回目の記事参照)
ここまでで本当に経営陣の想いや考えが人事チームの中にも落ちてきているからこそ、ビジュアルにも文言にも完璧なものが生み出せないことにもどかしさやくやしさを抱えつつ、より良いものにするべく打ち合わせを繰り返していきました。
そして、最終案を経営陣へSlack経由で展開しました。

 

4.大事な議論ー理想と稼ぐことー

 

ueno「改めて見てみると、“ビジネスを追求する!大きなビジネスをするぞ!”といった意気込みのようなものが足りない気がしています。今のセンシンロボティクスのメンバーに必要なものはこの5つもさることながらビジネスへの貪欲さ、社会からビジネスの大きさで評価されることを楽しむ、それで成長するっていうマインドだと思います。
自分ゴトはすごくいいキーワードだと思ってます。なぜ自分ごとにするかっていうと、そこにコミットしてビジネスを大きく成長させるためだと思うんですよね。」

tsukamoto「その意見は重要ですね。前提として私達はベンチャー企業なので、売上や利益を貪欲に追及しないといけないフェーズ。資金が枯渇してしまっては夢も達成できない、当たり前にビジネス目線は持っていなきゃならないと思っていましたが、あえて入れた方がいいかもしれないですね。」

sakata「お金の話をすると現実的すぎて萎えてしまう人もいるのではないでしょうか?ベンチャーだからこそ大きな夢を持つことも大事だ思います。」

tsukamoto「ベンチャーだからこそ夢を、というのも大事な目線だよね。でも、キラキラの標語を並べていざ入ってみたら、現実として、儲けることにも重きがおかれているとなるとそっちの方がGAPに苦しむかもしれない。」

kanaya「挑戦とビジネスの両立については思うところがあります。仰ること、大変よく理解できます。一方で私たちは「儲ける」ことにワクワクしているのではなく、儲けることの裏側にあることにワクワクするんじゃないでしょうか?”新しいことだから市場が広いし、市場を作れる”=だから儲かる。」

ueno「最近、選考を受けに来る方々や社員の中にも“センシンロボティクス=社会課題解決”、というバイアスがかかっていると思っていて、「儲ける」ことにシンプルにアンテナの高い人は社員の中にも結構いる。「儲ける」っていう言葉を直接的に入れなくても、“大きな市場を作る”とか、“より多くの人が安心で楽になってもらう”のようなアウトカムの大きさにこだわって欲しいと思っています。個人的には、社会に役立つことをする・スタートアップで急激なグロースを実現する・最新のテクノロジーに精通しているの3つを全部できると相当なレア人材ですし、これを目指そうぜ、っていうのがシンプルで良いと思います。」

 

5.最終的な決断。そして、大どんでん返し

kitamura「これまでの議論を踏まえて、これでいきましょう。正義は定義がすごく難しいし、正しいことって人それぞれだよね。今僕らに求められているのは“スピード”だし、”スピード”が僕らの正義なんじゃないかな。」

今も未来も自分ゴト

そして、次週に迫ったキックオフでの人事ポリシーのお披露目に向けたデザイン制作、デザインチームを巻き込んで     、まさに「Speed」と「Professional」を体現した1週間でした。
そして完成したのがこちら。

人事ポリシー

代表北村をはじめ、私たちの仕事はよりよい未来を残すための事業。それは未来も、そして未来を作る今も自分事として動ける人たちがセンシンロボティクスには集まっている、という想いが込められています。
そして、「社会的価値と経済的価値をともに創造する」には、社会貢献というのは理想だけではない。利益を上げてこそ、社会に還元できる、というバランス感覚をセンシンロボティクスのメンバーには持っていてほしい、という想いが込められています。

併せて、会社の約束も公開しました。

会社の約束
会社の約束については、今はまだ発展途上である部分もあります。会社の約束に向き合うことが経営陣、そして制度を作る人事メンバーのチャレンジでもあります。
制度は会社の成長とともに変化していきますが、変わるものと変わらないもの、どちらも大事にしながら変化し続けるセンシンロボティクスをこれからもどうぞよろしくお願いします。

 

6.最後に

リアルタイムで配信していたからこそ、大事な要素が変わることもあったり、迷走しているところがあったりしたと思います。
ありのままを公開することは必ずしもいいことばかりではないかもしれません。
人事ポリシーはポッと湧き出たものではなく、舞台裏では様々な思いが込められていることを知っていただけたら幸いです。

人事ポリシー、経営陣の想いに共感いただける方は是非一緒に働きましょう。