近年、老朽化したビルが増えていることに伴い、外装タイルの剥落事故の増加が全国的に懸念されています。建築物は時間の経過とともに耐久性が低下していくため、定期的に点検・調査を実施し、劣化状況を把握しておく必要があります。

従来の検査方法は、技術者が壁面全面を打診し、その音の異常の有無を聞いて診断しますが、足場の架設やゴンドラやロープで上から作業者を吊る必要があるため、ビルオーナーにとってコストや工期などの負担が大きく、点検精度も経験や技量に左右されるので、検査方法の効率化と診断精度の向上が求められていました。

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ドローンを活用することで、ゴンドラ若しくは足場を架設しなければ確認出来ない箇所でも、タイル11枚の剥落も見逃さずに検出することが可能です。また、ドローンに搭載する赤外線カメラを使うことで、目視では発見が困難だった不具合を確認することができるようになります。

 

壁面点検にドローンを活用し、タイルの浮きを確認

2019年11月某日、愛媛県にある施設にて以下の検証を行いました。
・ドローンに搭載した赤外線カメラを用いた壁面の浮きが確認できるか。
・映像伝送サービス(SENSYN DC)を使い、遠隔地でも赤外線カメラの映像で壁面の浮きが判断可能か。

まず、自動航行プラットフォーム(SENSYN FLIGHT CORE)を使い、施設の壁面点検を行いました。
機体はDJI製Matrice 200を使用しました。

設定画面から、点検したい壁面の飛行ルートと機体・カメラ、高度の設定を行います。この日点検を行ったエリアは空港周辺だったため、最高高度を40mにして点検を行いました。(事前に空港へ申請を行ったうえで運用しています。)

DSC03226-minDSC03198-minSENSYN FLIGHT COREは複数面の立体構造物の航行設定が可能

事前にシステム上で指定したルート通りの正確な飛行を実行した後、完全自動で精密な自動着陸を実行する事を確認しました。従来、産業におけるドローンの活用にはドローンの操縦・撮影など専門のスキルが必要でした。特に建物などの特定の箇所を撮影となると、撮影の難易度はさらに上がります。

本プラットフォームをご利用いただくことで、特別な技術がなくても簡単にドローン飛行の設定を行うことが可能になります。

次に、SENSYN DCを使いドローンで撮影している映像を本社と現場で繋ぎ、遠隔地でもサーマルカメラから壁面の浮きが確認できるかの検証を行いました。

外壁調査比較(左)可視光カメラによる撮影 (右)赤外線カメラによる撮影

検証の結果、打音検査で異常が確認できた箇所と同じクオリティで確認を行うことができました。

また、赤外線カメラで撮影した映像を本社へ共有し、リアルタイムに本社へも情報共有することができました。

点検業務の少人化・コスト削減・作業効率化を実現

従来型の点検・調査では、足場の組み立てや高所作業車の発注など、多くの人力・コストが必要でした。
ロープアクセスによる打音検査と比較すると日数を約1/3程度に削減ゴンドラによる打音調査と比較すると費用を約半分程度に削減することが可能です。
また、高所作業が削減できるため、作業者の安全を確保することが可能です。

【例】
物件名:都内某高層マンション
階/戸数:30階/約500戸  築年数:13年
調査目的:大規模修繕工事前の劣化診断調査

ロープアクセスによる打診調査 ゴンドラによる打診調査 ドローンによる空撮調査
・費用:120万円~200万円
・日数:7日間(4名体制)
・費用:250万円~300万円
・日数:5日間(4名体制)
・費用:150万円~200万円
・日数:2日(3名体制*)

*操縦士・アシスタント・安全管理者
※ベイシス調べ

 

お客様の声

「弊社では以前から産業用ドローンを導入して自社の点検業務の業務効率化ができないかと研究を行っておりました。今回、ドローンを活用した壁面点検を行うにあたり、機体購入のためにいくつかの企業で比較検討を行っていたのですが、ドローンの自動航行プラットフォーム(SENSYNFLIGHT CORE)や映像が遠隔から確認できるサービス(SENSYN DC)があると知り、センシンロボティクスのサービスに関心を持ちました。

説明を受ける中で、最終的な決め手になったのは、機材のメンテナンスやドローンの活用方法をはじめとする様々なアドバイスを受けられるサービス(トータルソリューションサービス)があった点です。ドローンという今までにないテクノロジーを使うわけですから、製品選びや運用といった知見が得られるというのは安心感につながりますね。」



近年のドローンの普及に伴い、販売を行う企業は増えてきましたが、一方で業務活用を行うにあたり、「どのようにデータを取得するのか、取得したデータをどう活用するのか」という点ではまだまだ知見を持つ企業は多くありません。

センシンロボティクスは、数々の企業との実績で積み重ねたノウハウを元に、顧客の業務効率化に向け、ドローンの活用・定着化までトータルでご提案いたします。