2022年7月にセンシンロボティクスは自律飛行型ドローンSkydio 製品の販売を開始しました。機体販売だけでなく、現場で得たノウハウを活用した業務実装に向けたトータルなサポート・サービスを提供致しています。今回はSkydio機の特徴の一つ、飛行支援ソフト「3D Scan」を使ったプラント点検用のデータ取得のデモンストレーションを実施しましたのでレポートします。
障害物の多い現場でも安全にデータを取得
デモンストレーションは、ドローンショーケース兼実証フィールド「ENEOSカワサキラボ」内にある石油タンクで実施しました。
Skydio機。上下に3つずつ、計6個のカメラが搭載されており、障害物を回避する。
まず、ドローンの飛行ルートの生成を行うために、飛行支援ソフト「3D Scan」が保持しているスキル「3Dスキャン」「3Dタワースキャン」「2Dキャプチャー」「2D GPSキャプチャー」から目的や環境に合わせてスキル選択。タブレットアプリの指示に従い、飛行範囲、対象物との離隔やラップ率などの撮影に関する定義を行います。
次に、飛行ルート生成後に自動で撮影飛行を行います。撮影中パイロットによる操作は不要で、タブレットの表示を切り替えることで、飛行経路をAR表示したり、撮影しているカメラ映像を確認することができます。
周辺には配管など構造物が立ち並ぶ中、機体は「3D Scan」で予め定義された通り、石油タンクの周りを自律的に飛行し、石油タンクの外観画像を取得することに成功しました。
3Dモデルの生成時間は撮影データの枚数や解像度によって異なりますが、実際の運用では、点検データ取得後、3Dモデルリング生成作業を実施すれば、翌朝の業務開始までに3Dモデルが完成します。データを確認することで、作業計画へ役立てることが可能です。
石油タンクの画像を撮影。配管を自動でよけつつデータ取得を行った。
取得中のデータはARで確認。
Skydioの特徴
Skydioの最大の特徴は、「AIによる自律飛行」です。屋内や橋梁、プラント内などGPSが届かない場所でも障害物を回避しながら自律的に飛行が可能です。
センシンロボティクスでは、Skydio機の販売開始直後から特に非GPS環境や磁場干渉が起きやすい環境下での使用問い合わせが多数寄せられています。
「今まで非GPS環境下でのドローン飛行はカスタマイズを行うか、UGV(無人地上車両)を提案していました。Skydio機を取り扱い始めたことで非カスタマイズも選択肢に加わり、お客様にリーズナブルな選択肢を提供することが可能になりました。」とセンシンロボティクス ロボティクスグループの浅原は述べました。
センシンロボティクス ロボティクスグループ 浅原
Skydio機はこれらの自律飛行という性能をベースに、対象物を自動撮影できるソフトウェア「3D Scan」を展開しています。
Skydio合同会社 代表 柿島 氏は「3D Scanは、他社との明確な差別化点である上に、今後需要が高まる可能性のある機能のひとつだと考えています。」と語ります。
例えば、建設現場における進捗管理はもちろん測量や、点検での3次元での劣化状況の比較、災害時の全体状況の把握など、幅広く活用が期待されています。センシンロボティクスでは、すでに顧客先での実証実験も開始し、ユースケースの開発に取り組んでいます。
Skydio合同会社 代表 柿島 氏
データ取得・解析/レポート化まで全ての業務フローの一元化を目指す
センシンロボティクスはこれらのデータを一元管理し、効果的な「分析」につながること、現場からマネジメントまでがそれぞれの観点でデータを「活用」できることが重要と考え、データ取得・解析/レポート化まで全ての業務フローの一元化を目指しています。
ドローンによるデータ取得はあくまでも点検業務におけるプロセスの一つです。
現場でのデータ取得の前後には検査の計画作成、データの整理から報告書作成など、アナログな作業が多く存在します。特にドローンなどを活用すると取得されるデータ量も人手とは比較にならないレベルで増大します。これらを解決するためには業務自動化プラットフォーム「SENSYN CORE」との連携が不可欠です。
現時点ではデータ管理機能「SENSYN CORE Datastore」との連携が完了しており、取得したデータの整理と活用が可能です。
撮影場所を地図と紐づけ自動仕分けを行ったり、不具合箇所にコメントをタグ付けするなど、撮影データをより使いやすい状態にし、関係者とのデータの共有などもスムーズに運用可能になります。
Skydio社による高度なドローンの制御技術と「SENSYN CORE」を組み合わせることで、データ取得から解析、活用までの自動化を実現し、実現場での定着を目指します。
また、データ取得に至る前後の過程も含めての自動化、無人化を目指し、新規ハードウェアとの連携も見据えているとのことです。